運動初心者が最初にやるべき“ケア習慣”とは?
「運動しよう」と思ったとき、まず整えるべきものとは?
運動を始めようと思ったとき、つい最初に思い浮かぶのは「何をやるか」「どこを鍛えるか」といったメニュー選びではないでしょうか。もちろん、種目や頻度も大切です。でも実は、運動を「楽しく」「安全に」「長く続ける」ためにもっと大事なことがあります。
それが、「ケア習慣」です。
ケアというと、アスリートの話のように感じる方もいるかもしれません。けれど、体を動かすうえでケアは誰にとっても必要な“土台づくり”。運動初心者こそ、ここを意識しておくことで、怪我や挫折を避けながら自分のペースでステップアップできるようになります。
なぜケアが必要なのか?──動く体は“整った体”から
体は本来、重力とバランスの中でうまく動くようにできています。でも、デスクワークやスマホ、長時間の座り姿勢などで、現代人の多くは“動かしにくい体”になっています。
関節が硬い、筋肉がアンバランス、体の左右差がある──そんな状態で急に運動を始めると、知らないうちに無理なフォームになったり、特定の部位に負担がかかってしまいます。
だからこそ、まずは「動ける体に整える」ことが第一歩。ケアとは、“整えてから動く”ための準備運動のようなものなのです。
ケア習慣の3ステップ
初心者が身につけておきたい基本のケア習慣は、以下の3つです。
- ① 今日の自分をチェックする
体は日々変化します。肩の左右差や重心の偏りなど、「今日の体の傾き」に気づくだけで怪我の予防になります。姿勢チェックや片足立ちテストなど、簡単なセルフチェックを習慣にしましょう。 - ② 固まりをほぐす
肩甲骨まわり、股関節、足裏など、よく使う場所ほど固まりやすい部位です。ストレッチや筋膜リリースで、関節の動きをスムーズにするだけで、運動の質が変わります。 - ③ 軽く動いてスイッチを入れる
いきなり本番メニューではなく、ジョグやラジオ体操、バランストレなどで神経と筋肉に“これから動くよ”とサインを送りましょう。
ケアは「運動の前後」だけじゃない
ケアは運動の直前・直後にやるもの、というイメージがあるかもしれません。でも、理想的には日常の中に溶け込ませることが大切です。
例えば、
- 朝起きたときのストレッチ
- デスクワーク中の肩回し
- 入浴中や寝る前のリリース
こうした日々の“小さな整え”の積み重ねが、体を変えていきます。
ケアが「できる人」は、続けられる人
運動を始めたけれど、すぐに疲れてやめてしまった…。やる気はあるのに、体が痛くて続けられなかった…。そうした声をよく聞きます。
でも実は、フォームややる気よりも、「ケアの有無」が継続できるかどうかを左右するケースがとても多いのです。ケアを習慣にできる人は、体調の波や小さな不調に気づきやすくなり、“無理をしない工夫”ができるようになります。
まずは、1日1分でもいい。
運動を始めるなら、いきなりジム通いやランニングから入るより、まずは「整える」ことを習慣にするのがおすすめです。
1日1分でもいい。肩を回す、足裏をほぐす、深呼吸して姿勢を整える──そんな小さな習慣から、運動はもっと心地よく、続けやすくなります。
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📚 参考文献・出典
- American College of Sports Medicine. (2018). Guidelines for Exercise Testing and Prescription.
- 厚生労働省『健康づくりのための身体活動基準2013』
- Schleip, R. (2003). Fascial plasticity – A new neurobiological explanation.
- Peper, E., et al. (2017). Increase strength and mood with posture. Biofeedback, 45(2), 36–41.
- 日本整形外科学会『運動器の10年プロジェクト』
- Behm, D.G., & Chaouachi, A. (2011). A review of the acute effects of static and dynamic stretching on performance.