「筋トレの効果が出ない」理由は動作パターンかも?

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「筋トレの効果が出ない」理由は動作パターンかも?

「頑張っているのに、筋トレの成果が感じられない…」

週に何回もトレーニングしているのに、思うように筋肉がつかない。
頑張って重量を上げているのに、姿勢は変わらず、パフォーマンスも上がらない──

そんな経験はありませんか?

実はその原因、「動作パターン」にあるかもしれません。
筋トレの効きが悪いのは、筋肉の問題ではなく「動かし方」の問題。
つまり、体が本来の効率的な動き方をしていないことが、効果を妨げているのです。

動作パターンとは?──“いつもの動き方”のクセ

「動作パターン」とは、体が覚えてしまっている“いつもの動き方”のこと。
例えば、スクワットをする時に膝が内側に入る人、プッシュアップで肩がすくむ人──

それらは全て、無意識のうちに繰り返している体の使い方のクセです。

本来の動作パターンでは、関節が正しく連動し、重心の流れもスムーズに保たれます。
しかし一度クセが定着すると、その誤った動きが「当たり前」になってしまい、
正しいフォームでも筋肉が適切に使われない状態に陥ります。

例:ヒップアップ目的のスクワットが“もも前”ばかり効く?

「お尻に効かせたい」のに、太もも前ばかり張ってしまう──
これはよくある動作パターンのズレです。

なぜこうなるのか?

  • 股関節よりも膝を先に曲げるクセがある
  • 骨盤の前傾・後傾のコントロールができていない
  • 重心がつま先寄りになり、太もも前に負荷が集中

こうしたクセがあると、いくら回数を重ねても狙った筋肉には効きません

▲ スクワットフォーム比較図解

動作パターンの見直しは、すべての土台になる

筋トレ効果を出したいなら、まず「筋肉」ではなく「動作パターン」に目を向けるべきです。
フォームを見直し、使っている筋肉や関節の動きに意識を向けることで、体は大きく変わります。

これは筋トレに限らず──

  • ゴルフのスイング
  • ランニングのフォーム
  • スイムのキャッチ動作

あらゆる運動において「効率の良い動作パターン」が、成果と怪我予防のカギになるのです。

どうすれば動作パターンを改善できる?

最初の一歩は、「自分の動作パターンを知る」こと。

例えば、

  • スクワットでつま先や膝の方向を鏡で確認
  • 片足立ちで骨盤が傾くかをセルフチェック
  • 動作の途中で“どこに効いているか”を意識する

こうした「体との対話」が、動きのクセに気づく入り口です。
さらに、フォームチェックや専門家のフィードバックを受けることもおすすめです。
動画撮影で自分の動きを客観的に見るだけでも、大きな学びがあります。

私も経験がありますが、フォームチェックする上で動画撮影は大変有効なツールです。得てして、動作に対する自分のイメージと実際の動きはずれているものです。

理想の動作の感覚を覚えて、イメージと動作を合わせる作業を積み重ねましょう。
そして、正しく自分の体を操り、成績向上や怪我予防に繋がる成功体験を積み重ねましょう。

これも、体と対話することなのです。

成果が出る体は、“効かせ方”を知っている

筋トレの成果は、「どの筋肉をどれだけ動かしたか」で決まります。
言い換えれば、効かせたい筋肉に、正しく負荷を届けられているかが重要です。

そしてそれは、動作パターンが正しいかどうかにかかっています。

単に「回数」や「重量」を増やすよりも、まずは「正しい動かし方」を身につけること。
そうすれば、少ない回数でもしっかり効く。怪我なく、無理なく、変化が出せる体になります。

▲ 筋トレの3つの鍵

「フォームを学ぶ」は、未来の自分への投資

筋トレで効果が出ないと、「もっと頑張らなきゃ」と思いがちです。
でも、頑張り方が間違っていたら、かえって遠回り。

まずは、フォームを整える。
自分の動作パターンを知る。
そのうえで、狙った筋肉にしっかり効かせていく──

それが、未来の成果につながる、いちばんの近道かもしれません。

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📚 参考文献・出典

  • American College of Sports Medicine. (2018). Guidelines for Exercise Testing and Prescription.
  • Schoenfeld, B. J. (2010). The mechanisms of muscle hypertrophy… J Strength Cond Res, 24(10), 2857–2872.
  • Cook, G. (2010). Movement: Functional Movement Systems…
  • Kibler, W. B., et al. (2006). The role of core stability in athletic function. Sports Med, 36(3), 189–198.
  • Wulf, G., & Lewthwaite, R. (2016). OPTIMAL theory of motor learning.

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