フォームが安定しない理由、実は“体幹”かも?──野球×動きの連動力を科学する

🚀パフォーマンス学

🌀フォームが安定しない理由、実は“体幹”かも?──野球×動きの連動力を科学する

「腕の振り方」だけじゃ足りない? フォーム改善の盲点

「もっと肩を開かずに投げよう」「スイングの軌道を修正しよう」
野球のフォームを改善しようとすると、ほとんどの人が腕や足の動き=“末端”の修正に意識を向けがちです。

でも、なぜか安定しない。
日によってフォームが変わる。
打球や球速にムラがある──。

実はそこに、“体幹”という見えない土台の問題が隠れているかもしれません。

体幹を意識した体の軸のイメージ
▲ 投球・打撃動作における「体幹の軸」のイメージ。体幹が安定すれば、フォームも安定する。

私自身、大学野球で投手としてプレーしていた1年生のとき、「一見うまくいっているようで、どこか安定しないフォーム」にずっと悩まされていました。
そんなとき出会ったのが「体幹を軸にした動作づくり」でした。

この記事では、「なぜ体幹がフォームを左右するのか?」「どんな鍛え方が実戦に効くのか?」を、理論と実践の両面から掘り下げていきます。

🔍フォームと体幹の関係──「動きの芯」がブレるとすべてが崩れる

🧭 体幹とは「腹筋」じゃない

まず大前提として、「体幹=腹筋」ではありません。
体幹とは、背骨、骨盤、腹筋群、背筋群、股関節まわりの深層筋(インナーマッスル)など、身体の“中心”を構成するすべてを含む概念です。

ここが不安定だと──

  • 下半身で生まれた力が上半身に伝わらない
  • 動きの再現性が下がる
  • フォームが日によってブレる
といった、パフォーマンス低下の原因になります。

⚾ 体幹がフォームに与える3つの効果

1. 🏛 軸の安定性を生む

体幹が機能することで、体全体に一本芯が通ったような安定感が生まれます。これは投球や打撃に限らず、守備・走塁などあらゆる動作の精度に関係します。

2. 🔗 力の“橋渡し”になる

下半身→体幹→上半身という力の連鎖がスムーズにつながることで、効率的なパワー伝達が可能に。逆に体幹が弱いと、せっかくの脚力や腰の回転が“途中で逃げる”状態に。

3. 🔁 再現性を高める

安定した体幹によって、同じフォームを何度も再現できるようになります。これは安定感とパフォーマンス維持に欠かせない要素です。

🏋️‍♂️鍛え方を間違えると逆効果?──「使える体幹」の育て方

⚠️ 体幹トレーニング、ありがちなNG例

❌ 静的トレーニングに偏る
プランクは基礎的な筋持久力には効果的ですが、“実戦で動ける体幹”を作るには動的な刺激や連動性も必要です。

❌ 腕やバットを「振り切る」意識ばかり
「もっと腕を振れ」「力強く振り抜け」──そんな意識がフォームのブレを招くことも。
動作が上半身主導になると、体幹を置き去りにして動きの連動が断ち切られるのです。

動的体幹と静的体幹の比較図
▲ 動ける体幹=「動的体幹」は、野球のような実戦動作に欠かせない。静的体幹とバランスよく鍛えることが大切。

🧩実践編|“動ける体幹”を作る3つのトレーニングアプローチ

体幹トレーニングの3タイプ
▲ 体幹トレーニングは目的に応じて3つのアプローチに分けられる。それぞれの特徴を理解し、目的に合ったメニューを選ぼう。

🎯まとめ|筋力より“使い方”──体幹からフォームを変えよう

野球においてフォーム改善とは、「見た目を整える」ことではなく、「動きの連動性を高めること」です。
その鍵を握るのが体幹。

  • ✔ 軸が安定すれば、フォームも安定する
  • ✔ 力が伝われば、出力も上がる
  • ✔ 体幹を使えば、再現性も高まる

体幹とはフォームの“ベースキャンプ”のようなもの。
どんなに良い技術も、軸がなければ崩れてしまいます。

これまで“筋トレ”としての体幹しか見ていなかった方は、ぜひ一歩踏み込んで「動きの中で使える体幹」を手に入れてください。
パフォーマンスが変わります。人生が動きます。

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📚参考文献・出典

  • Kibler, W. Ben, et al. “The role of core stability in athletic function.” Sports medicine 36.3 (2006): 189–198.
  • Behm, David G., et al. “Canadian Society for Exercise Physiology position stand: The use of instability to train the core in athletic and nonathletic conditioning.” Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism 35.1 (2010): 109–112.
  • McGill, Stuart. Ultimate Back Fitness and Performance. Backfitpro Inc, 2014.

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