🚀 形は魚雷、中身は理論!──話題の「魚雷バット」とは?
プロ公式戦での使用解禁やメジャーでの導入報道で注目が集まる「魚雷バット」。本記事ではその誕生背景から国内外の使用例、賛否、木製と金属の違いまで、野球道具の最前線を解説します。
🐟 魚雷バットとは?基本のき
魚雷バット(トルピードバット)は、魚雷のように先端からグリップまで太さが比較的均一な形状をもつバットです。従来の「先端太・グリップ細」よりも重心が中央寄りになり、スイング中の慣性特性が変わるのが最大の特徴です。
- 重心:中央寄りでバランスが独特
- 慣性:手先だけでは振りにくく、下半身主導を促す
- 狙い:スイング軌道の安定化・押し込みの強化・体幹の連動
🕰 誕生の背景|なぜ作られたのか?
1970年代以降の金属バット普及により「軽くても飛ばせる」環境が広がる一方、手打ち化・下半身主導の崩れ・バットコントロールの粗さといった副作用が指摘されてきました。
そこで現場(高校〜社会人)で試作が進み、1990年代後半〜2000年代にかけてメーカーが市販化。太さのメリハリを抑えた形状と相対的な重量感で、手先頼みのスイングを抑え、下半身からの力伝達を学ぶ設計思想が広まりました。
⚾ NPBでの公式戦使用解禁と初事例
2025年4月、プロ野球で魚雷バットが規則上の適合が確認され、公式戦での使用が可能に。ほどなくして埼玉西武ライオンズ・源田壮亮選手が実戦で使用し、大きな話題となりました。
- 解禁の意味:練習用にとどまらず、実戦での選択肢として認知
- 反応:フォーム安定を評価する声と、打感の違和感を指摘する声
西武・源田がNPBで初めて「魚雷バット」使用 「いつも使っているバットと比べて大きな差は感じなかった」sanspo.com/article/202504… #埼玉西武ライオンズ #seibulions #プロ野球西武 #源田壮亮 がNPBで初となる実戦で「#魚雷バット」を使用した。
— サンスポ (@SANSSPOCOM) April 19, 2025
🌎 MLBでも“魚雷旋風”が!
メジャーでは、MIT出身の物理学者が開発した“ボーリングピン型”に近い設計の魚雷バットが注目。スイートスポット付近に質量を集約し、打球効率を高める狙いです。ヤンキースをはじめ複数球団で使用例が見られ、話題は拡大中です。
- 導入選手:内外野の巧打者から長打型まで幅広く試用
- 評価:打球精度の向上を評価する声/従来型を好む選手も継続
🧐 賛否が分かれる理由
👍 賛成派の主張
- 下半身主導でないと振れない → フォームの安定
- 「押し込み」の体感が得やすく、ミート力の養成に有効
- 木製の芯を捉える練習として実戦移行がスムーズ
🤔 慎重派の主張
- ヘッドが“勝手に走る”感覚が弱く、遠心力を活かす打者に違和感
- 飛距離の“伸び感”が掴みにくい、長打型には不向きの可能性
- 新形状への順応に時間がかかり、短期では成果が読みにくい
🪵 木製と金属の違い
プロの公式戦(MLB/NPB)で使用できるのは基本的に木製のみ。金属製の魚雷型は主に練習用として普及しています。
項目 | 木製(公式戦可) | 金属(練習専用) |
---|---|---|
使用環境 | プロ・上位カテゴリの実戦 | 高校〜草野球の練習全般 |
重量・バランス | 実戦仕様に調整可/打感が明瞭 | 重め設定が多い/耐久性に優れる |
打感・芯の広さ | 芯が狭い/ミスが可視化される | 芯広め/反復練習に向く |
目的 | 実戦直結のフォーム・ミート練習 | 体幹強化・軌道矯正・反復負荷 |
🏋️♂️ 効果を引き出す練習メニュー
1)ティーバッティング(30〜50スイング)
目線・骨盤の向き・踏み込みのタイミングを合わせ、打球方向は気にしすぎずミートの厚さを重視。
2)ロングティー(20スイング)
下半身リード→体幹→腕の順に力を伝える。飛距離よりも軌道の再現性を優先。
3)交互スイング(魚雷→通常)
魚雷バットで感覚を作り、通常バットで実戦打感に移行。1:1〜1:2の比率で入れ替えると違和感が残りにくい。
4)ミートポイント固定ドリル
ネット前30〜50cmに目印を置き、常に同一点で“押し込む”感覚を養成。逆方向(流し打ち)にも効果的。
🧭 向いている選手/向いていない選手
✅ 向いている
- フォームを固めたい時期の選手(オフ〜春先)
- ミート重視で出塁率を高めたい打者
- 下半身主導や「押し込み」の体感を掴みたい選手
⛔ 向いていない(慎重に)
- ヘッド走り(遠心力)で長打を量産するタイプ
- 短期間での即効性のみを重視するケース
- バット変更に伴う微調整へ時間を割けない状況
🎥 最新映像|魚雷バット使用シーン
以下は、魚雷バットに関する最新情報を伝えるYouTube動画です。記事で解説した内容とあわせてご覧ください。
📝 まとめ|“形の違い”は“使い方の違い”
魚雷バットは奇抜な見た目以上に、打撃動作の学習設計が込められた道具です。飛距離をただ伸ばす魔法の杖ではなく、下半身からの力の伝達・押し込み・軌道の再現性を鍛えるための「トレーニング・実戦の橋渡し」。自分の打撃タイプと目的に合わせて取り入れれば、確かな価値を生みます。
📚 参考文献・出典
- NPB関連リリース・報道(魚雷バットの規則適合および使用解禁に関する報道)
- MLB公式・各種メディア(Torpedo bat に関する解説・選手コメント・導入事例)
- 各メーカーのトレーニングバット製品情報(形状・重量設計の比較)