「ゾーン2で走っているつもりなのに、なぜか心拍がすぐ上がってしまう」「昨日と同じペースなのに数値が安定しない」。そんな悩みを抱えるランナーは少なくありません。実はその原因の多くが、“心拍計の測定精度の違い” にあります。
特にゾーン2は、脂肪代謝が活発になり、ミトコンドリアが刺激される“ちょうどいい強度”。ところが、心拍が5〜10拍ズレただけで狙うべきゾーンから外れてしまい、せっかくのトレーニング効果が半減してしまうこともあります。
スマートウォッチだけで計測している人は多いものの、手首の心拍計は構造上どうしても誤差が出やすいという弱点があります。一方で、胸ベルトはプロ選手や医療現場でも使われるほど精度が高く、ゾーン2のような“誤差に敏感なトレーニング”に向いています。
この違いを知っているかどうかで、ゾーン2の質は大きく変わります。
本記事では、胸ベルトと腕時計は何が違うのか?どちらが正確なのか?そしてゾーン2の効果を最大限に引き出すためにはどう測ればいいのか?を、仕組みから実例までわかりやすく解説していきます。
- 🫀【第1章】ゾーン2はなぜ“正確な心拍計測”が必要なのか?
- 📡【第2章】光学式(腕時計)と電極式(胸ベルト)は何が違う?
- ⚠️【第3章】どれくらい誤差が出る?腕時計で起きやすい“3つのズレ”
- 🏆【第4章】結論:ゾーン2は“胸ベルト”が圧倒的に正確
- 🧩【第5章】胸ベルトを使うべき人・腕時計でもOKな人
- 🧰【第6章】ゾーン2に最適な心拍計の選び方(おすすめモデル紹介)
- ⌚【第7章】腕時計でも“誤差を減らす”使い方と設定テクニック
- 🧭【第8章】ゾーン2で“正しい心拍”に入れているか確認する方法
- 🧾【第9章】まとめ|ゾーン2の質は“正確な心拍”で大きく変わる
- 📚【第10章】次に読むおすすめ|ゾーン2をもっと深く理解するために
- 参考文献・出典
🫀【第1章】ゾーン2はなぜ“正確な心拍計測”が必要なのか?
ゾーン2は「ゆっくり楽に走るだけの強度」と思われがちですが、その実態はかなり繊細です。脂肪代謝やミトコンドリアの働きが最も高まる心拍帯は人によって異なり、ほんの5〜10拍ズレるだけで“まったく別のトレーニング”になってしまうという特徴があります。
たとえば、本来ゾーン2で走りたいのに、計測誤差で心拍が10拍高く表示されていた場合。本人は「ゾーン2に入っているつもり」でいても、実際にはゾーン3〜4に入り、脂肪より糖を使う“しんどい領域”の走り方になってしまいます。逆に低く出すぎれば、十分な刺激が入らず効果が薄れてしまいます。
■ ゾーン2は「狙うレンジがとても狭い」
心拍ゾーンは一般的に5段階で示されますが、ゾーン2の幅は意外と狭く、多くの人で安静時心拍の+30〜40拍程度に収まります。
この狭い範囲に“ピタッと合わせる”ためには、心拍数の正確性が極めて重要です。
- ゾーン1:低すぎて刺激が弱い(ウォームアップ向け)
- ゾーン2:脂肪代謝・ミトコンドリア最適帯
- ゾーン3:乳酸が溜まりやすく、少ししんどい領域
つまり、ゾーン2は「当たれば大きい、外れれば効果が激減」という、意外と精密さが求められるトレーニングなのです。
■ スマートウォッチの“誤差”はゾーン2の天敵
読者からよく届く質問に、
- 「同じペースなのに心拍が乱高下する」
- 「序盤だけ急に150近くまで跳ねる」
- 「昨日と今日で10拍以上違う」
というものがあります。これは多くの場合、手首の光学式センサーの限界による誤差です。光学式は“血流の変化”を読み取る方式のため、
- 寒さで手首が冷える
- 汗でセンサーがズレる
- 上下動が大きいランニングで揺れる
こうした条件が重なるだけで簡単に誤作動し、本来のゾーン2ではない数値が表示されてしまうのです。
特に冬場のランニングで手首が冷えると、血流が減って光を拾いにくくなり、誤差はさらに大きくなります。
■ 正確に心拍を測れると、ゾーン2の質が一気に変わる
逆に言うと、正しい心拍数がわかれば、
- “気持ちよく走っているのに心拍が高すぎる問題”が解消
- 体調や疲労の変化に気づきやすくなる
- ゾーン2の“正しい強度感”が掴める
- 脂肪代謝や持久力アップの効果が安定する
といったメリットが得られ、トレーニングの質が一段上がります。
特に初心者や中高年ランナーほど、心拍の跳ね上がりが起きやすいため、精度の高いデバイスを使えるかどうかが成果に直結します。
■ ゾーン2こそ“測定ツールの差”がはっきり出るトレーニング
不思議なことに、インターバルやペース走など“強度が高い練習”よりも、
ゾーン2のような低強度走のほうが誤差が大きな影響を与えます。
理由はシンプルで、
- 高強度は心拍が急上昇しやすく差が気づきやすい
- 低強度は「やや違和感がある」程度で見逃しやすい
というギャップがあるから。
多くのランナーは「今日はなんか心拍が高いな」で済ませてしまいますが、それが習慣化すると、
“狙っているゾーンに入れていないゾーン2” を続けてしまうことになります。
ここが多くの人が伸び悩むポイントです。
■ 胸ベルトを使う人が増えている理由
昨今、GarminやPolarの胸ベルトを使い始める人が増えています。
その理由はただ一つ。
「ゾーン2の精度が劇的に変わるから」。
胸ベルトは心電図に近い信号を直接拾うため、手首で計測するより誤差が小さく、トレーニング強度が安定します。
この詳細は次章でくわしく解説しますが、ここまで読んだ方ならすでに “正確性の重要性” は伝わったはずです。
📡【第2章】光学式(腕時計)と電極式(胸ベルト)は何が違う?
「腕時計と胸ベルト、どっちが正確なの?」
この疑問に答えるには、まず計測の仕組みが根本的に違うことを知っておく必要があります。
■ 光学式センサー(腕時計)は“光で血流を読む”方式
Apple Watch、Garmin、COROSなど、多くのスマートウォッチに搭載されているのが光学式センサーです。腕時計の裏にある“緑色の光”が皮膚に当たっているのは見たことがありますよね。
この光は皮膚の下を流れる血液に反射し、その反射光の強弱から「血流の変化=心拍」を読み取っています。
光学式のメリット
- つけるだけで手軽に計測できる
- ランニング以外でも使いやすい
- 普段使い(歩数・睡眠計測)にも便利
光学式の弱点
- 皮膚の色・汗・温度の影響を受ける
- 上下動が大きいランニングで誤差が出やすい
- 特に“ゾーン2”のような低強度はブレが目立つ
要するに、光学式は“動きながら光で血流を読む”という、不安定な条件で計測しているということです。
■ 電極式センサー(胸ベルト)は“心電信号を直接拾う”方式
胸ベルトが強いと言われる理由は、心臓が発する電気信号(ECG)そのものを測定するからです。
胸の周囲に巻くベルトの裏側には電極が付いており、これが心臓の鼓動で発生する微弱な電気を検出します。これは、医療現場の心電図とほぼ同じ仕組みです。
電極式のメリット
- 心拍を“直接”測るため精度が極めて高い
- 上下動や汗の影響を受けにくい
- 運動強度が高くなるほど誤差が小さくなる
- プロ選手・医療現場でも採用される信頼性
電極式の弱点
- 初めての人は装着に慣れが必要
- ウォーキング・普段使いにはややオーバースペック
つまり胸ベルトは、“揺れてもズレても心拍がブレない”という圧倒的な安定性を持っています。
■ ゾーン2で誤差が出やすいのは光学式の“構造的な限界”
ゾーン2は運動強度が低く、心拍の変動幅も小さいため、光学式の弱点がとても目立ちます。
光学式が誤差を出しやすい理由
- 手首の位置が体から遠く、電気信号を拾えない
- 皮膚温の影響で血流が変化する
- 揺れ・汗・密着不足で光の反射が乱れる
特に冬は血流が減りやすく、スマートウォッチからの相談で最も多いのが「冬だけ急に誤差が増える」という現象です。
逆に胸ベルトは……
- 心臓の近くで電気信号を拾う
- 冬でも揺れてもブレない
- ゾーン2のような“低強度の微妙な差”を捉えられる
その結果、“ゾーン2で狙った心拍帯に入りやすいかどうか”に差が出るのです。
■ 光学式と電極式の違い(シンプルまとめ)
| 特徴 | 光学式(腕時計) | 電極式(胸ベルト) |
|---|---|---|
| 測定方式 | 光で血流を推定 | 心電信号を直接測定 |
| 精度 | ズレやすい | 圧倒的に正確 |
| 揺れ・汗の影響 | 受けやすい | 受けにくい |
| ゾーン2との相性 | あまり良くない | 最高に良い |
| 普段使い | ◎ | ○ |
| 価格帯 | 1〜5万円の時計に付属 | 7,000〜15,000円前後 |
| 向いている人 | 大まかに管理したい人 | ゾーン2効果を最大化したい人 |
⚠️【第3章】どれくらい誤差が出る?腕時計で起きやすい“3つのズレ”
スマートウォッチの心拍計はとても便利ですが、構造上どうしても誤差が出ます。特にゾーン2のように“狙う心拍帯が狭いトレーニング”では、わずかなズレが大きな影響を及ぼします。
ここでは、実際のランナーが最も遭遇しやすい3つの誤差パターンを紹介します。
❶ 運動開始〜10分の「心拍が急上昇する問題」
「走り始めの心拍だけ異常に高い」「最初だけ150〜160まで跳ねて、しばらくすると落ち着く」――これは光学式センサーの“典型的な誤差”です。
なぜ起きる?
- 走り始めは手首の血流が安定していない
- ウォッチの密着が弱く、光が乱反射する
- 上下動が激しく、センサーが振動に負ける
とくに冬場に多く、手首が冷えて血流が少ないと「実際より20拍以上高く測る」ことも珍しくありません。
ゾーン2への影響
「心拍が高いからペースを落とす」という間違った調整が起きます。本来なら軽く走れる強度なのに、“ゾーン1寄りの低刺激ラン”になってしまいます。
❷ ペース変化・カーブで突然跳ねる「心拍スパイク」
ある程度走っていても、
- ペースアップ時
- カーブで腕の軌道が変わる時
- 信号待ちの再加速
こういった場面で突然10〜20拍ジャンプする“心拍スパイク”が起きます。
原因
- 腕の動きの変化で光の反射が乱れる
- ピッチや上下動が変わり、センサーが追従できない
- 手首の装着位置が緩んでいる
心拍が160→140→150→130…と乱高下する場合、
身体ではなくウォッチが混乱している可能性が高いです。
ゾーン2への影響
スパイクを本気で信じると「今日は調子が悪い」と誤解し、心理的にもフォーム的にも乱れやすくなります。
❸ 汗・雨・冬場の冷えで「読み取り不良」が頻発
光学式の最大の弱点は、皮膚の状態に大きく左右されることです。
代表的な誤差要因
- 汗でウォッチが滑る
- 雨でセンサーが濡れる
- 冬に手首が冷えて血流が減る
- 皮膚が乾燥して光が跳ねやすくなる
これらは全て、光学式センサーにとっては“誤差の温床”。
とくに冬は手首の血流がガクッと落ちるため、ゾーン2より高い心拍が出続けることがよくあります。
ゾーン2への影響
- 本当は楽に走れているのに「心拍だけ高い」
- 無駄にペースを落とす → 刺激不足
- トレーニングの一貫性が損なわれる
🌡️ コラム:多くのランナーが“ゾーン2が難しい”と感じる理由
ゾーン2はゆっくり走るだけなので簡単そうに見えますが、実は「心拍のブレが結果に直結するトレーニング」です。
光学式の誤差による影響は、以下のような形で蓄積します。
- 本来のゾーンより高い → 糖代謝優位 → 疲れやすい
- 本来のゾーンより低い → 刺激不足 → 効果が出にくい
つまり、精度が低いまま続けると、“ゾーン2の良さ” が十分発揮されないのです。
🏆【第4章】結論:ゾーン2は“胸ベルト”が圧倒的に正確
第1〜3章で触れてきたように、ゾーン2は「ほんの5拍のズレ」がトレーニング効果を左右します。だからこそ、心拍計の“精度”が非常に重要です。
そして実際の計測精度で比較したとき――
胸ベルトは腕時計(光学式)より圧倒的に正確。これは単なる意見ではなく、構造的な違いに基づく“事実”です。
■ 胸ベルトは「心拍そのもの」を測る。腕時計は「血流」を推測する
ここが最大のポイントです。
胸ベルト
- 心臓が発する電気信号(ECG)を直接キャッチ
- 医療現場の心電図と原理が同じ
- 動いても揺れても、精度はほぼブレない
腕時計(光学式)
- 手首の血流に光を当て、反射から“推測”
- 汗、冷え、上下動に弱い
- 運動強度の変化に追従できないことも多い
つまり、胸ベルトは「正しいデータをそのまま取る」、腕時計は「推測して計算する」という違いがあります。この構造の違いは、いくら技術が進歩しても覆りません。
■ ゾーン2は“心拍が安定しているときほど”誤差の差が大きくなる
「強度が高い方が誤差が出やすいのでは?」と思いがちですが、実は逆です。
ゾーン2のように低強度で心拍が安定しているほど、光学式は小さな変化を捉えられず“ズレやすい”。
さらに、
- 歩幅の変化
- 上下動の変化
- カーブで腕の動きが変わる
- 信号待ちの再スタート
こうした微妙な動きの違いに光学式は弱く、心拍が140→155→138→150といった乱高下が発生します。
対して胸ベルトは一貫して、「身体が出している心拍そのもの」を捉えるため、乱れません。
■ 実際のランナーはどう感じている?
だーわー(筆者)の経験や読者の声から、こんなパターンが多いです。
- 腕時計だと“走り始めだけ異常に高くなる”
- 寒い日は心拍が乱れてペースが掴めない
- ゾーン2なのに毎日数値がバラつく
- 胸ベルトに変えた途端、心拍がピタッと安定した
- 「調子の悪さ」ではなく「計測誤差」だと気づけた
胸ベルトを初めて使ったランナーが一番驚くのは、「心拍がこんなに安定するのか」という“気づき”です。この体験がゾーン2の質を大きく変えます。
■ トレーニング効果にも直結する
胸ベルトで正しく心拍を管理できると、ゾーン2の効果が以下のように安定します。
- ミトコンドリアの増加
- 脂肪代謝の向上
- 呼吸効率UP
- 「軽く長く走れる体質」への改善
- 月単位でのパフォーマンス向上
低強度トレーニングは積み重ねが勝負。毎回ズレない心拍で行うことで、最大の効果が出ます。
■ プロ選手が胸ベルトを使い続ける理由
興味深いのは、トップアスリートでも胸ベルトを外さないこと。彼らは光学式ウォッチも持っていますが、トレーニングでは胸ベルトを必ず併用します。
理由は明確です。
「ちょっとの誤差で練習の質が落ちる」のを理解しているから。
これは市民ランナーにも当てはまります。特にゾーン2を中心に走力を伸ばしたい人ほど、胸ベルトの恩恵は大きいと言えます。
■ 結論:ゾーン2を“確実に”やりたい人は胸ベルトがおすすめ
ここまでの内容を一言でまとめると……
“ゾーン2は精度命。精度=胸ベルト。”
もちろん、腕時計でも大まかに心拍を掴むことはできます。ただし、
- 心拍が乱れやすい人
- ゾーン2の効果を最大化したい人
- 年齢的に心拍が跳ねやすくなってきた人
- トレーニングの質を安定させたい人
は、胸ベルトの恩恵を強く感じるはずです。
🧩【第5章】胸ベルトを使うべき人・腕時計でもOKな人
「自分の場合は胸ベルトが必要なのか、それとも腕時計だけで十分なのか?」
これは多くのランナーが抱える疑問です。
ここでは、読者が自分に当てはめやすいように“胸ベルトが向いている人”と“腕時計だけでOKな人”を整理します。
■ 胸ベルトを使うべき人(=メリットを最大限に得られる人)
① ゾーン2の効果を本気で出したい人
ゾーン2は刺激が微妙に変わるだけで“別のトレーニング”になります。心拍が5〜10拍ズレるだけで効果が変わるため、正確性を求めるなら胸ベルト一択です。
② 心拍が跳ねやすい・乱れやすい体質の人
- 冬に心拍が高く出る
- ペースが安定しない
- 同じコースでも日によって数値が違う
③ 中高年ランナー(40代〜60代)
年齢とともに“交感神経の反応が強くなる”ため、心拍が乱れやすくなります。胸ベルトなら小さな変動も正確に追えるので、疲労の把握にも役立ちます。
④ トレーニングの質を安定させたい人
- ランニングの成果が頭打ち
- 毎回の練習で心拍データがバラバラ
- 疲労管理をもっと正確にしたい
⑤ GarminやPolarで“ランニングダイナミクス”を活用したい人
高機能モデルでは、胸ベルトと連携することで、
- 地面接地時間
- 上下動
- ピッチ
- 左右バランス
などが測れ、フォーム改善にも直結します。
■ 腕時計だけでOKな人(=光学式で十分なケース)
① ウォ―キング・軽いジョギングが中心の人
強度が低く上下動も小さいため、腕時計でも誤差は気になりにくいです。
② “大まかな心拍ゾーン”が分かればOKな人
- 「とりあえず運動したい」
- 「数字はざっくりで良い」
③ 胸ベルトが苦手な人(締め付け感が気になる)
どうしても装着感が気になるタイプの人は、「慣れてきたら胸ベルトに移行」という考え方でもOKです。
④ 気温が安定している季節だけ走る人
冬の冷えや汗による誤差が起きにくい時期は、腕時計でも比較的安定します。
ポイントは“運動目的と性格”に合わせて選ぶこと。
胸ベルトが優れているのは間違いありませんが、すべての人に必要というわけではありません。
🧰【第6章】ゾーン2に最適な心拍計の選び方(おすすめモデル紹介)
ここでは、「初めて胸ベルトを買うなら、どれを選べば後悔しないか?」という視点で、厳選したおすすめモデルを紹介します。
どれも精度は十分ですが、用途やランニングレベルによって“最適解”が変わるため、目的別に解説します。
🥇 Polar H10|迷ったらこれ。胸ベルトの“定番”にして王者
総合評価:精度・耐久性・互換性すべてトップクラス
Polar H10は胸ベルトの代名詞とも言えるモデルで、
- Garmin
- Apple Watch
- COROS
- スマホアプリ(Strava / TrainingPeaks など)
……ほぼすべてのデバイスと連携可能です。
心電図レベルに近い「電極の感度の高さ」が強みで、ゾーン2のような低強度トレーニングでも誤差が限りなく小さいのが特徴です。
おすすめポイント
- とにかく精度が高い
- ほぼ全デバイスと接続できる互換性
- ラン・バイク・スイムとマルチに使える
- ベルトが柔らかく、長時間でも擦れにくい
こんな人におすすめ
- 初めて胸ベルトを買う人
- ゾーン2を本気でやりたい人
- 正確性に妥協したくない人
🥈 Garmin HRM-Pro Plus|ガーミンユーザーの最適解
Garminユーザーなら、正直これ一択と言ってもいいほど相性抜群です。
HRM-Pro Plusは胸ベルトの高精度に加え、ガーミン本体と連携することで、
- 上下動
- ピッチ
- 接地時間
- 左右バランス
といった“ランニングダイナミクス”データまで取得できます。
これはフォーム改善に極めて有効で、ゾーン2 × 経済性の改善を狙う中級者以上には非常に強力なツールです。
おすすめポイント
- Garmin Connectでデータを一元管理
- ランニングフォーム改善にも役立つ
- 精度はH10と同等レベル
- 電池交換も簡単
こんな人におすすめ
- Garminウォッチを使っている
- フォーム改善もしたい
- 月間走行距離が多いランナー
🥉 Polar H9|必要十分の精度で“最安コスパNo.1”
「胸ベルトが気になるけど、なるべく安く始めたい」という人に最もおすすめなのが H9 です。
上位モデル(H10)と比べると、
- メモリー機能なし
- 同時接続数が少ない
などの違いはありますが、心拍の“測定精度そのもの”はほぼ同じ。ゾーン2をやるうえで問題になることはまずありません。
おすすめポイント
- 1万円前後で買える
- それでも精度は十分高い
- 初めての胸ベルトにも向いている
こんな人におすすめ
- 胸ベルトを試してみたい
- ゾーン2の精度を上げたいけど予算は抑えたい
- シンプルさを重視したい
🧪 COROS Heart Rate Monitor|腕巻き式の“新しい選択肢”
胸ベルトが苦手な人に密かに人気なのが、COROSの“腕巻き式”心拍計です。
胸ではなく上腕(二の腕)に巻くタイプなので装着感が軽く、擦れや不快感を避けたい人に向いています。
精度は胸ベルトにはやや劣るものの、光学式ウォッチよりははるかに安定します。
おすすめポイント
- 装着感が圧倒的に軽い
- 光学式よりは正確
- 胸ベルトの締め付けが苦手な人に最適
こんな人におすすめ
- 胸ベルトの“圧”が苦手
- ウォッチより正確なデバイスが欲しい
- 長時間のジョグでも快適さを重視したい
■ 用途別のおすすめ(1分で選べる早見表)
| 目的 | ベストな選択 |
|---|---|
| 初めての胸ベルトで後悔したくない | Polar H10 |
| Garminウォッチを使っている | Garmin HRM-Pro Plus |
| とにかくコスパ重視 | Polar H9 |
| 胸の締め付けが苦手 | COROS Heart Rate Monitor |
| ランニングフォームも分析したい | Garmin HRM-Pro Plus |
⌚【第7章】腕時計でも“誤差を減らす”使い方と設定テクニック
胸ベルトが最も正確なのは間違いありませんが、
- 「今すぐ胸ベルトを買うのはちょっと…」
- 「しばらく腕時計だけで続けたい」
という人も多いはずです。
そこでこの章では、腕時計(光学式)の心拍精度を最大限に高める方法をまとめます。ちょっとした工夫で誤差が大幅に減り、ゾーン2の質も上がります。
❶ 装着位置を“1〜2cm 上”へずらす
まず試してほしいのがこれです。
手首の真上(出っ張っている骨の部分)は揺れやすく、血流も一定しません。そこで、腕時計を手首より1〜2cm 上にずらすだけで密着が安定します。
効果
- 揺れに強くなる
- センサーの密着が良くなる
- 光の乱反射が減る
❷ ベルトを“ややキツめ”にする(指1本ルール)
ゆるいとセンサーが皮膚から離れてしまい、誤差の原因になります。逆に締めすぎると血流が減って逆効果です。
ベストは「指1本入るくらい」のキツさ。走り始めは少し苦しく感じても、10分ほどで馴染み、測定精度が安定します。
❸ 冬は“手首を温める”だけで精度が劇的に変わる
冬場、光学式はとにかく血流不足で誤差が出ます。
ベスト対策
- 薄手の手袋をする
- 長袖を上から被せる
- 雨の日は時計の上に袖をかぶせておく
冬に「心拍が20拍高く出る」という人の多くは、手首が冷えているだけというケースも多いです。
❹ ランニング前の“ウォームアップ”を少し増やす
光学式は血流が安定するまで精度が不安定です。
そのため、
- 歩行2〜3分
- ゆっくりジョグ5分
程度を挟むと、最初の心拍スパイクが起きにくくなります。
❺ 汗・雨対策に“ベルト内側の拭き取り”を習慣化
光学式センサーは水分に弱く、汗や雨滴がついただけで精度がブレます。
対策
- シャツの裾やタオルで軽く拭く
- ランニング中でもこまめに水滴を払う
❻ Garmin/Apple/COROSごとの“精度UP設定”
◆ Garmin
- 心拍スムージングを「標準〜弱め」に設定
- アクティビティは「屋外ラン」を選択
◆ Apple Watch
- ワークアウトを「屋外ラン」に固定
- 手首検出をONにする
- スポーツループなど、密着しやすいバンドを選ぶ
◆ COROS
- 心拍フィルターを“弱め”に設定
- 対応モデルではGPSモードを“高精度モード”にする
❼ それでも誤差が気になる人は“上腕式”という選択肢も
胸ベルトの締め付けが苦手な人でも、COROSの上腕式(アームバンド)なら装着感が抜群に軽いです。
「腕時計より正確、胸ベルトより快適」という中間ポジションで、最近じわじわユーザーが増えています。
🧭【第8章】ゾーン2で“正しい心拍”に入れているか確認する方法
ここまで、心拍計の仕組みや誤差の原因についてお伝えしてきました。では実際に、自分が「正しいゾーン2」に入れているかどうかはどう判断すれば良いのでしょうか?
ここでは、今日からすぐに使えるチェック方法をまとめます。“数値のチェック”と“体感のチェック”の2つを組み合わせることで、ゾーン2の精度は驚くほど安定します。
❶ ウォームアップ後に“心拍が落ち着くまで待つ”
光学式にありがちな誤差のひとつが、運動開始直後の心拍スパイクです。
ゾーン2を始める前に、
- 歩行2〜3分
- ゆっくりジョグ3〜5分
を挟み、心拍が安定してから本番開始するのが基本です。
チェックポイント
- 心拍が急に140〜160に跳ねていないか
- 一度高く出ても、その後自然に落ち着くか
- 数値と体感の一致感があるか
❷ 会話テスト:息が弾まないかどうか
ゾーン2は「会話ができる強度」がひとつの基準です。走りながら、
- 2〜3語の文を余裕で話せる
- 深呼吸しなくても呼吸が乱れない
- 胸に“張り”が出てこない
こうした状態であれば、ほぼゾーン2に入っています。
❸ 心拍の“跳ね上がり”を無視しない
ゾーン2中に、突然心拍が 140 → 155 → 138 → 150… と乱高下する場合は、
- 疲労
- 水分不足
- 睡眠不足
- 姿勢(猫背・肩の力み)
- 光学式センサーの誤差
のいずれかが原因です。
チェックポイント
- 前日より呼吸が浅くなっていないか
- ペースは変わってないのに心拍だけ高くないか
- 前日の疲労が残っていないか
❹ “平均心拍”と“心拍ゾーン滞在時間”をチェック
Garmin・Apple Watch・COROSのどれを使っていても、ラン後に確認しておきたいのがこの2つです。
- 平均心拍:ゾーン2の範囲に入っているか(多くの人は最大心拍の60〜70%)
- 心拍ゾーン別の滞在時間:ゾーン2にどれだけ滞在できたか(30〜60分が目安)
おすすめのランニングウォッチ(COROS(カロス)NOMAD)
❺ GPSアプリで“ペース×心拍”の関係を見る
Garmin Connect や Strava で、「ペースと心拍の関係が直線的かどうか」を確認するのもおすすめです。
ゾーン2がうまくできている日ほど、ペースが安定し、心拍も一定のラインを描きます。逆に乱れている日は、
- 心拍がガタガタ
- ペースが上下
- 呼吸のリズムも不安定
というサインが出ます。
❻ 正しいゾーン2ができた時の“体感メモ”を作る
おすすめしたいのが、スマホや手帳に「今日はゾーン2がうまくいった!」という日の体感メモを書いておくことです。
例:
- ペース:キロ7:00
- 心拍:128〜135で安定
- 呼吸:鼻呼吸で余裕
- 体感:脚に張りなし、軽い
- 前日の睡眠:7時間
これを作っておくと、“自分にとってのゾーン2の感覚”を再現しやすくなるため、練習の質が安定します。
🧾【第9章】まとめ|ゾーン2の質は“正確な心拍”で大きく変わる
ゾーン2は「ゆっくり走るだけ」のように見えて、実はとても繊細なトレーニングです。心拍が5〜10拍ズレるだけで、脂肪代謝やミトコンドリア刺激といった効果が大きく変わってしまうため、“正確な数値を把握できるか”がすべての土台になります。
この記事で解説したように、
- 腕時計の光学式センサーは、揺れ・汗・冷え・ペース変化に弱く誤差が出やすい
- ゾーン2は“誤差が結果に直結する領域”である
- 胸ベルトは心電信号を直接拾うため、精度が圧倒的に安定する
- 正確な心拍管理により、ゾーン2の効果は最大化される
という背景から、ゾーン2を本気で取り組むなら胸ベルトが大きな味方になります。
もちろん、腕時計でも工夫次第で精度は上げられますし、“まずは手軽に始めたい”という人にとって光学式はとても便利です。
しかし、
- 「毎回の誤差でペースが乱れる…」
- 「心拍が上がりやすくてゾーン2が難しい…」
- 「走力がなかなか伸びない…」
と感じている人ほど、胸ベルトの恩恵が大きいのも事実です。
ゾーン2は“積み重ね”で効果が出るトレーニング。だからこそ、一歩の正確性が未来の大きな差につながります。
あなたの目的に合わせて、最適な計測ツールを選び、今日の1本を“確かなゾーン2”にしていきましょう。
📚【第10章】次に読むおすすめ|ゾーン2をもっと深く理解するために
参考文献・出典
- Brooks, G. A., & Mercier, J. (1994). Balance of carbohydrate and lipid utilization during exercise: the “crossover” concept. Journal of Applied Physiology, 76(6), 2253–2261.
- San-Millán, I., & Brooks, G. A. (2018). Assessment of metabolic flexibility. Sports Medicine.
- Gillinov, S. et al. (2017). Variable accuracy of wearable heart rate monitors. MSSE.
- Wallen, M. P. et al. (2016). Accuracy of heart rate watches. JMIR.
- Garmin Official Support – Optical Heart Rate Technology.
- Polar Research – Chest Strap Accuracy.
- ACSM Guidelines for Exercise Testing and Prescription.
- WHO Physical Activity Guidelines.


