転んだのは“油断”だった|夏道の罠と“走り続けた代償”

🧪研究ゼミ

第4/5回🩹転んだのは“油断”だった|夏道の罠と“走り続けた代償”

🌙 夜ランが日常になる、夏のあるある事情

夏は日が長く、夜でも暖かい。昼間の猛烈な暑さを避けて、夕方〜夜に走る「ナイトランナー」は増えています。私自身もそうでした。白いTシャツにショートパンツ、足元は軽めのシューズ。ヘッドライトを付けて視界も確保していたつもり。

ところがある日、夜のランニング中に段差につまずいて足首をひねってしまいました。最初こそ痛みがありましたが、走っているうちに徐々に痛みは薄れ、そのまま距離を稼いで帰宅。しかし翌朝、足首はパンパンに腫れ、靴が入らないほどに…。

「なんであのとき止まらなかったんだろう」そんな後悔は、あとからやってくるのです。

🔦 夏道の“見えないリスク”たち

夏場のランニングは、実は「見えにくさ」との闘いでもあります。

  • 日没後、街灯の死角にある段差や側溝
  • 夕立後の滑りやすいマンホールや落ち葉
  • 公園の舗装と未舗装のギャップ
  • 虫の飛来による瞬間的な視界の乱れ

夜のランは静かで気持ちいい反面、足元には意外な落とし穴がたくさん。
さらに、疲労や脱水によって集中力が落ちていると、小さな変化にも反応しにくくなります。

▲ 暗がりのランニングに潜む危険ゾーン

👕 肌の露出がもたらす“裂傷リスク”

夏場のウェアは快適さを求めてどうしても軽装になります。タンクトップ、ランパン、ノースリーブ…。でもそれが、「転倒時の傷」を防ぐクッションを失っていることにもなります。

冬ならウェアに守られていたはずの肘や膝。夏の路面に直接ヒットすれば、裂傷や擦過傷は避けられません。
しかも汗や湿気が多い季節、傷は治りにくく、感染もしやすい。

▲ 転倒しやすい部位と露出リスク

🛠️ 擦過傷・裂傷の応急処置ガイド

転倒は避けられなくても、処置次第でその後のパフォーマンス低下は防げます。

🔹Step1|止血・洗浄

  • 傷口に異物(砂・小石)がある場合は流水でしっかり除去
  • 清潔なハンカチやガーゼで圧迫止血

🔹Step2|保護

  • ワセリンやラップで湿潤環境を保つ
  • 応急的に絆創膏やドレッシング材(キズパワーパッドなど)

🔹Step3|経過観察

  • 翌日以降も赤みや痛みが続く場合、感染の可能性あり
  • ズキズキした痛み→皮膚科受診を推奨

💡 ワンポイント:小傷でも「傷がある状態」で走るとフォームが崩れ、膝や股関節など他部位に負担がいきやすくなります。

▲ 応急処置の3ステップ(止血→保護→経過観察)

💥 捻挫や擦過傷…「走れるけど走らない判断」

運動中はアドレナリンが出て、痛みを感じにくくなります。私がそうだったように、足をひねっても「まぁ走れるな」と判断して続けてしまうことがあります。

でも、それは「回復の芽」を摘む行為。靭帯や腱に微細なダメージが入っているときに負荷をかけると、次の2週間を台無しにすることも。

“今の1キロ”より、“明日の10キロ”を守る判断を。

🧰 転ばぬ先の装備と行動習慣

✅ ナイトラン装備

  • 広角ヘッドライト(100〜200ルーメン)
  • アンクルライトや反射ベスト
  • 摩耗していないソールのシューズ

✅ 肌の保護

  • アームスリーブ・レッグカバー
  • UVカットウェアで日焼けと転倒対策の両立

✅ 走る前の心構え

  • 疲労時・空腹時は避ける(集中力低下の原因)
  • スマホに「もしもの連絡先」をセットしておく

✍️ まとめ:怪我は突然やってくる。でも防ぐこともできる

夏は開放感と裏腹に、リスクも多い季節。
転倒・裂傷・捻挫は、ランナーなら誰でも起こり得る“すぐ隣の事故”です。

  • 「見えなかった」「気づかなかった」は通用しない
  • 装備と判断で未然に防げるトラブルがある
  • 軽傷でも“その後のトレーニング”に影響する

走ることを長く楽しむために、「走らない勇気」も大切に。
“転ばない”ことより、“転んでも慌てない”ことが、賢いアスリートの証です。

📚 参考文献・出典

  • 日本スポーツ医学会. 『ランナーの応急処置ハンドブック』.
  • JSPO. 『スポーツ外傷・障害の予防と対策』.
  • British Journal of Sports Medicine. “Running Injuries and Risk Factors”.

執筆:だーわー(からだのカレッジ「研究ゼミ」)
運動と体を“対話”するように扱うことを大切にし、日々の気づきを発信中。


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