💧「その一口、遅すぎるかも?」──水分補給と“タイミング”の科学
🚰 喉が渇いたと感じた時、もう遅い?
「喉が渇いたから水を飲もう」──
これ、実はもう軽い脱水状態に入っている可能性があります。
運動中のパフォーマンス低下、頭がぼんやりする、回復が遅い…。
その原因が「水分補給のタイミング」にあることは、意外と知られていません。
この記事では、「いつ飲むか」がパフォーマンスにどう影響するのかをわかりやすく整理しながら、
健康にも競技にも役立つ“補給の習慣”をつくるヒントをお届けします。
🧠「脱水」は体に何が起きているのか?
私たちの体の約60%は水分です。
筋肉・脳・血液・内臓──どれも水分があってこそ正常に働きます。
たとえば…
- 体重の2%の水分を失うだけで、パフォーマンスは低下
- さらに4〜5%の脱水で、集中力・判断力・筋出力が著しく落ちる
- 汗だけでなく、呼吸や代謝でも水分は失われている
つまり、「喉が渇いた」と感じた時点では、すでに軽度の機能低下が始まっているのです。
そして重要なのは──
水分を補う「タイミング」によって、体の状態は大きく変わるということ。

🕒「いつ」「どれだけ」「何を」飲むか?
私自身、トライアスロンやランニングの練習で、水分補給の失敗で体調を崩した経験があります。
例えば、運動の直前に一気に飲んだ日は、胃がチャプチャプして走れず、
逆に補給を怠った日は、脱力感と集中力低下でトレーニングになりませんでした。
そこで意識し始めたのが、次の“3つのタイミング”です。
- ✅ ① 運動の「前」に飲む
開始30分前までにコップ1杯(200〜400ml程度)を目安に
冷たすぎず、吸収の早い温度帯(15〜20℃)がおすすめ
カフェイン・アルコールは避ける - ✅ ② 運動の「最中」に飲む
汗をかく前から先手を打つ
20〜30分ごとに少しずつ(100〜200ml)
長時間運動では、塩分・糖分入りのスポーツドリンクも有効 - ✅ ③ 運動の「後」に整える
減った体重の1.5倍量の水分補給が回復のカギ
例:1kg減ったなら1.5Lの補給が目安
水だけでなく、塩分・糖分も併せて摂ることで吸収率アップ
このように、「前・中・後」で戦略的に飲むことが、
単なる“水分補給”を“パフォーマンスサポート”に変えてくれるのです。

🧭「水を飲む」から「体を支える」へ
水分補給は、「喉の渇きに応じて飲むもの」ではありません。
それは、体のパフォーマンスを保つ“装備”であり、“先手のケア”なのです。
特に運動習慣がある人、暑さの中で活動する人は、
「タイミング・量・内容」の3つを意識するだけで、体が驚くほど応えてくれます。

適切な補給は高パフォーマンスを維持し、遅れた補給はパフォーマンス低下に直結します。
明日からはぜひ、「前・中・後」のタイミングを意識して、
あなたの体を支える“習慣”としての水分補給を実践してみてください。
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📚 参考文献・出典
- American College of Sports Medicine. (2018). Guidelines for Exercise Testing and Prescription.
- 森谷敏夫 (2015). 『スポーツ栄養学』. 市村出版.
- 厚生労働省. 『健康づくりのための身体活動基準2013』.
- Sawka, M. N., et al. (2007). Exercise and fluid replacement. Medicine & Science in Sports & Exercise, 39(2), 377-390.