「今日は10km走る予定だけど、なんとなく身体が重い」
「昨日もしっかり寝たはずなのに、まだ眠い」
「Garminを見ると、いつもより安静時心拍数が高い」
そんな日に、予定どおり運動するべきか、それとも休んだ方がよいのか迷うことはないでしょうか。
運動習慣がある人ほど、「休む」という判断は意外に難しいものです。
せっかく続けてきた運動を休むと体力が落ちそう。今日は休んでも、明日も休みたくなってしまいそう。予定していたトレーニングをこなせないと、少し負けたような気持ちになる。
特に40代・50代になると、仕事や家庭の予定を調整しながら運動時間を確保している人も多く、「せっかく時間を作ったのだから」と身体が重くても運動してしまうことがあります。
しかし、毎回予定どおりに運動することと、長く運動を続けられることは同じではありません。
大切なのは、
「今日は予定をこなせるか」ではなく、「今日の身体に合う運動は何か」
と考えることです。
この記事では、「運動しすぎ」を週何回、何kmといった一つの数字で判断しません。
身体の重さ、脚の状態、心拍数、睡眠、食欲、運動意欲などを組み合わせ、
「いつも通りやる・軽くする・休む・医療相談を考える」
という4段階で整理します。
- ✅ 結論|「やるか休むか」の二択で考えなくていい
- ⚖️ 運動しすぎは「週何回」で決まるものではない
- 🔍 回復が追いついていないときに確認したいサイン
- ❤️ 心拍数は「高いか」より「いつもの自分と違うか」
- 🏃 同じ運動なのに心拍が高い、いつもより苦しいのも確認する
- 😴 「寝た時間」だけでなく、朝どう感じるかを見る
- 🧠 「今日は運動したくない」も無視しなくていい
- 🚦 「やる・軽くする・休む・相談する」を4段階で判断する
- 🏃 ランニングなら「10km予定」を絶対にしない
- 🥊 キックボクシングは「ジムへ行く=追い込む」ではない
- 🏋️ 筋トレは重量だけでなく、セット数や種目でも調整できる
- 🌿 アクティブレストと完全休養はどう使い分ける?
- 🌅 前日の運動が適切だったかは「翌朝」に振り返る
- ⌚ Garminは「休んでいいか判定する機械」ではない
- 🧠 運動しすぎを「自律神経の乱れ」だけで説明しない
- ⚠️ 「少し疲れている=オーバートレーニング症候群」ではない
- 🛌 回復の基本はグッズより「睡眠・食事・水分・負荷調整」
- 🩺 「運動疲労だろう」で済ませない方がよい状態
- ❓ 運動しすぎ・休養についてよくある質問
- 🔚 まとめ|予定を守るより、今日の身体に合わせる
✅ 結論|「やるか休むか」の二択で考えなくていい
最初にこの記事の結論です。
運動をするか迷った日は、次の4段階で考えてみてください。
① いつも通り運動する
睡眠や体調が普段と大きく変わらず、痛みもない。ウォームアップをすると身体が動き、心拍数や息の上がり方もいつもの範囲。
このような日は、予定していた運動を行うという判断ができます。
② 強度を下げる
少し脚が重い、前日の疲れが残っている、睡眠時間が少し短かった、いつものペースなのに心拍数がやや高い。
そんな日は、完全に休む必要がなくても、追い込む日ではないかもしれません。
ランニングならペースを落とす、距離や時間を短くする。
筋トレなら重量やセット数を減らす。
キックボクシングなら強打や長い連打を減らす。
このように、「運動するけれど負荷は下げる」という選択肢があります。
③ 回復日・休養日に変更する
朝から強い疲労感がある。十分寝たはずなのに眠気が抜けない。脚がかなり重い。数日続けて同じ運動がきつく感じる。運動する気持ちがほとんど起こらない。
複数の変化が重なっているなら、軽いウォーキングやモビリティなどの回復日にするか、完全休養を考えます。
ここで重要なのは、休養日に必ず運動する必要はないことです。
④ 運動を中止し、必要なら医療相談を考える
胸痛、失神、いつもと違う強い息苦しさ、強いめまいやふらつき、安静時にも続く強い動悸、発熱、歩くことも難しい痛みや強い腫れなどがある場合は、通常の「運動疲労」と決めつけないことが重要です。
厚生労働省も、運動中に胸痛、動悸、めまいやふらつき、いつもと違う強い疲れ、関節や筋肉の強い痛みなどを感じた場合は、運動を中止するよう案内しています。
つまり、
やる → 軽くする → 休む → 相談する
は連続しています。
「運動する」「休む」の二択にしないことが、無理を減らす第一歩です。
⚖️ 運動しすぎは「週何回」で決まるものではない
「週5回運動したら多すぎる」
「毎日走ったらオーバートレーニングになる」
というように、運動回数だけで判断することはできません。
同じ週5回でも、
- 30分の軽いウォーキングを5回
- 10kmのハードなランニングを5回
では身体への負担がまったく違います。
さらに同じ運動をしていても、睡眠、食事、仕事の忙しさ、暑さ、体調などによって、その日の身体が受ける負担は変わります。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、身体活動は一律の量を当てはめるのではなく、健康状態や体力などの個人差を踏まえて強度や量を調整する考え方が示されています。
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
この記事では、分かりやすく、運動負荷と回復のバランスとして考えます。
運動負荷には、
- 運動頻度
- 運動時間
- 強度
- 距離
- 重量
- 高強度運動の回数
- 連日のトレーニング
などがあります。
一方、回復に関係する要素には、
- 睡眠
- 食事
- 水分
- 休養
- 前日の疲労
- 日常生活での負担
などがあります。
さらに、その結果として身体に出てくるのが、
- 朝の疲労感
- 脚の重さ
- 心拍数
- 筋肉痛や張り
- 痛み
- 食欲
- 運動意欲
- パフォーマンス
などの変化です。
大切なのは、「運動量が多いか」より、「今の負荷に対して回復が追いついているか」を見ることです。

🔍 回復が追いついていないときに確認したいサイン
運動後に疲れること自体は珍しいことではありません。
問題は、一つの症状があるかどうかだけではなく、普段の自分と違う状態がいくつも重なっていないかです。

身体のサイン
まず分かりやすいのが身体の変化です。
- 朝から身体が重い
- 脚が重い
- 筋肉の張りが抜けない
- 筋肉痛が長く続いている
- ウォームアップしても身体が重い
- いつもの動作がぎこちない
- フォームが崩れる
- いつもの重量が妙に重く感じる
一つだけなら、前日の運動による一時的な疲労ということもあります。
しかし、
「脚も重い」
「朝もだるい」
「ウォームアップしても動かない」
と重なるのであれば、その日は予定どおり追い込む必要があるか考え直した方がよいでしょう。
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❤️ 心拍数は「高いか」より「いつもの自分と違うか」
Garminなどを使っている人は、安静時心拍数の変化に気づくことがあります。
「いつもより3拍高い」
「最近少しずつ高くなっている」
と気になることもあるでしょう。
ただし、心拍数が高い理由は運動疲労だけではありません。
暑さ、脱水、睡眠状態、体調、精神的なストレス、カフェインなど、さまざまな要因の影響を受けます。
そのため、「安静時心拍数が○拍を超えたら休む」という共通基準にはできません。
見るべきなのは、普段の自分との比較です。
Garmin公式によると、対応するデバイスでは日常の安静時心拍数を計算でき、一部の機種では過去7日間の平均安静時心拍数も確認できます。
こうした記録が役立つのは、絶対値を見るためというより、「自分の通常状態から外れていないか」を確認しやすくなることです。
たとえば、自分の場合は普段の安静時心拍数を把握しているため、50を超えると少し注意し、54を超えた日は体調や精神的な疲労感も合わせて、休むかどうかを考えています。
ただし、これはあくまで私個人の基準です。
「54なら危険」「50なら休むべき」という意味ではありません。
人によって通常の安静時心拍数は違うため、自分の普段の値を知っておくことの方が重要です。
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🏃 同じ運動なのに心拍が高い、いつもより苦しいのも確認する
安静時だけではありません。
ランニング中に、
「いつものペースなのに心拍数が高い」
「いつもより早く息が上がる」
「ペースを維持するのがつらい」
という日もあります。
これも「運動しすぎ」と決めつけることはできません。
特に夏は、同じペースでも暑さや湿度などの影響で身体への負担が大きくなります。
睡眠不足や水分不足、体調不良でも心拍反応は変わります。
だからこそ、心拍数だけを見るのではなく、心拍+呼吸+脚+主観的なきつさを一緒に見ることが大切です。
たとえば、
「心拍数が少し高いけれど、身体は軽く会話もできる」
場合と、
「心拍数が高く、脚も重く、呼吸も普段より苦しい」
場合では判断が違います。
後者なら、予定していたペースに固執せず、ペースを落としたり時間を短くしたりする方がよいでしょう。
😴 「寝た時間」だけでなく、朝どう感じるかを見る
7時間、8時間寝たからといって、必ずしも朝すっきり起きられるとは限りません。
睡眠では、
- 睡眠時間
- 寝つき
- 夜中に何度も起きなかったか
- 起床時の疲労感
- 日中の眠気
なども確認したいところです。
特に分かりやすいのが、「寝たつもりなのに眠い」という感覚です。
自分の場合も、よく寝たつもりなのに睡魔が抜けず、運動予定時間の直前になっても、
「少し体を動かしてみるか」
という気持ちにならないことがあります。
こういう日は、Garminの数値以上に、自分の感覚を重視します。
なぜなら、本人にしか分からない「いつもと違う感じ」は、ウェアラブルにはすべて表示されないからです。
もちろん、眠気だけで運動しすぎと判断することはできません。
体調不良など別の原因も考えられます。
だからこそ、いつもと違う強い眠気やだるさがあるなら、予定を守るより身体の状態を優先するという考え方が重要です。
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🧠 「今日は運動したくない」も無視しなくていい
運動習慣がある人ほど、
「やる気は関係ない。とりあえず始めればいい」
と考えがちです。
確かに、単に面倒なだけで、走り始めたら気分よく運動できる日はあります。
一方で、
- 身体も重い
- 強い眠気がある
- 仕事で精神的に疲れ切っている
- 何日もトレーニングがきつく感じる
- 好きな運動なのに今日は全くやる気が起こらない
といった状態なら、運動意欲の低下も一つの判断材料になります。
ここでも、一つの感情だけで判断しないことがポイントです。
「やる気がない+身体が重い+睡眠状態も悪い」
というように、ほかの変化と一緒に見ます。
なお、こうした心理面の変化をすぐに「自律神経が乱れている」と説明することはできません。
疲労、仕事のストレス、睡眠不足、体調など、さまざまな要因が関係する可能性があります。
🚦 「やる・軽くする・休む・相談する」を4段階で判断する
では、実際に今日のトレーニングをどう決めればよいのでしょうか。

🟢 ① いつも通りやる
一つの目安は、
- 朝の疲労感が普段どおり
- 十分な睡眠が取れている
- 食欲がある
- 特に痛みがない
- 運動する気持ちがある
- ウォームアップで身体が動く
- 心拍反応や呼吸も普段と大きく変わらない
という状態です。
この場合は、予定していたトレーニングを行う判断ができます。
ただし運動中に違和感が出たら、途中で②や③へ変更して構いません。
🟡 ② 軽くする
たとえば、
- 少し寝不足
- 脚がやや重い
- 前日の筋肉痛が少し残っている
- ウォームアップがいつもより重い
- 同じペースなのに心拍数がやや高い
- 疲れてはいるが体調不良というほどではない
といった状態です。
ここでは「やるか休むか」ではなく、運動の負荷を一段下げると考えます。
運動時間、距離、ペース、重量、セット数などのうち、どれか一つでも下げれば負荷は変わります。
関連記事|運動中の心拍が高いとき
🟠 ③ 回復日または完全休養
次のような状態が重なっているなら、休養を優先する選択肢があります。
- 朝から強い疲労感がある
- 十分寝ても眠気が強い
- 脚が非常に重い
- 数日続けてパフォーマンスが落ちている
- 安静時心拍数の変化と自覚疲労が重なっている
- 強い筋肉痛や張りが続く
- 運動する気持ちがほとんど起こらない
- 普段と違う体調の違和感がある
ここでは、軽く動くアクティブレストと完全休養を使い分けます。
🔴 ④ 中止して、必要なら医療相談
運動中の胸痛、強い息苦しさ、めまいやふらつき、動悸、いつもと違う強い疲れなどは、単なる「今日は調子が悪い」で済ませない方がよい症状です。
発熱、急激な体調悪化、強い腫れ、歩くのも難しい痛みなどがある場合も、トレーニングメニューの調整ではなく、まず体調やけがへの対応を優先します。
🏃 ランニングなら「10km予定」を絶対にしない
たとえば、今日は10km走る予定だったとします。
状態が良い日
睡眠も取れていて、脚も軽い。ウォームアップでも問題ない。
→ 予定していたランニングを行う。
少し疲れている日
脚がやや重い。心拍数が普段より高め。昨日の疲れも少し残っている。
→ 10kmという予定を外し、短時間のイージーランに変更する。
距離を半分にする必要がある、という意味ではありません。
重要なのは、最初に決めた距離を達成することを目的にしないことです。
疲労が強い日
朝から身体が重い。強い眠気がある。ウォームアップをしても身体が動かない。
→ ウォーキングに変更するか、完全休養する。
こうしておけば、
「10km走れなかった」
ではなく、
「今日は回復を優先するトレーニングに変更した」
と考えられます。
運動習慣を長く続けるためには、この発想の切り替えが重要です。
🥊 キックボクシングは「ジムへ行く=追い込む」ではない
キックボクシングも負荷を細かく変えられます。
たとえば通常なら、
- ミット
- サンドバッグ
- 連打
- ジャンプ系
- 筋力トレーニング
まで行う日でも、疲れていればすべて実施する必要はありません。
軽くするなら、
- ミットの強打を減らす
- 連打時間を短くする
- サンドバッグを軽めにする
- シャドーや技術練習を中心にする
- ジャンプ系を省く
- 最後の筋トレを省く
といった調整ができます。
同じ「ジムに行った日」でも、身体への負荷はかなり変えられます。
そして、強い疲労や体調の違和感があるなら、ジムへ行かず完全休養にしても構いません。
関連記事|キックボクシングの強度調整
🏋️ 筋トレは重量だけでなく、セット数や種目でも調整できる
筋力トレーニングでは、
「いつも60kgだから今日も60kg」
という考え方になりやすいですが、重量以外にも負荷を調整する方法があります。
- 重量を下げる
- セット数を減らす
- 回数を減らす
- 限界まで追い込まない
- 高重量種目を省く
- ジャンプ系を省く
- 動作確認や軽い補強だけにする
疲労が強い日は、普段なら問題なくできるフォームが崩れることもあります。
「重量を上げられるか」より、「今日はきれいな動作を保てるか」を見る方が実用的です。
フォームが崩れてきたら、予定していた重量や回数にこだわらず、その日のトレーニングを終了する判断も必要です。

🌿 アクティブレストと完全休養はどう使い分ける?
疲れている日に、
「少し動いた方が回復するのでは?」
と思う人もいるでしょう。
軽いウォーキングやごく軽い有酸素運動、ストレッチ、モビリティなどを行う、いわゆるアクティブレストを取り入れる方法もあります。
ただし、「疲労時は必ずアクティブレストをした方がよい」とは考えない方がよいでしょう。
自分の場合は、普通の筋肉痛程度なら軽く身体を動かすことがあります。
一方で、
- 精神的に疲労困憊している
- 普段と違う強い体調不良を感じる
- 筋肉の痛みではなく、けがを疑うような痛みがある
- 運動に耐えられないほど痛い
ときは完全休養を選びます。
判断するときは、「軽く動ける状態か」ではなく、「軽く動いても問題なさそうな状態か」と考えると分かりやすいでしょう。
筋肉痛と、鋭い痛みや動作を妨げる痛みを同じものとして扱わないことも重要です。
🌅 前日の運動が適切だったかは「翌朝」に振り返る
運動直後は、
「今日は予定どおりできた」
と満足していても、翌朝に強い疲労が出ることがあります。
そこで、からだのカレッジでは翌朝の状態を重要な確認タイミングとして考えます。
朝に確認したいのは、
- 全身の疲労感
- 安静時心拍数
- 脚の重さ
- 筋肉痛や張り
- 睡眠状態
- 食欲
- 運動意欲
- 痛み
- 普段と違うだるさ

たとえば、ハードなランニングをした翌朝、
「多少脚は張っているが、よく眠れて食欲もある」
なら、前日の負荷から回復に向かっていると考えられるかもしれません。
一方、
「脚が重い、強い眠気がある、安静時心拍もいつもより高い、運動する気にもならない」
と複数の変化が重なっているなら、次の運動を軽くする理由になります。
重要なのは、一日だけで完璧に判断することではありません。
運動 → 翌朝確認 → 次の負荷を調整
という流れを繰り返すことです。
こうすると、自分にとって「やりすぎだった運動量」が少しずつ分かるようになります。
⌚ Garminは「休んでいいか判定する機械」ではない
Garminなどのウェアラブルは、こうした振り返りと相性のよい道具です。
対応機種によって、
- 安静時心拍数
- 運動時心拍数
- 睡眠関連データ
- トレーニング負荷
- リカバリータイム
- HRV関連情報
- トレーニングレディネス
などを確認できます。
ただし、搭載されている機能は機種によって異なります。
ここで注意したいことがあります。
Garminに「回復した」と表示されたから、必ず追い込んでよいわけではありません。
逆に、数値が良くないから必ず完全休養という意味でもありません。
ウェアラブルが示す情報には推定値が含まれます。
まず、自分の体調を見る。
そのうえで、Garminの数値を確認する。
そして、実際に身体を動かしたときの反応を見る。
この順番がよいでしょう。
自分も安静時心拍数は参考にしていますが、「今日は明らかに体調がおかしい」と感じれば、数値が普段どおりでも主観的な違和感を優先します。
体調不良の可能性もあるからです。
心拍や運動記録を普段から比較したい人へ
Garminを選ぶ目的は、「今日は運動してよい」と機械に決めてもらうことではありません。安静時心拍数や運動時心拍数などを継続して記録し、普段の自分との差を見つけやすくすることにあります。
🧠 運動しすぎを「自律神経の乱れ」だけで説明しない
運動と疲労について調べていると、
「自律神経が乱れている」
という言葉をよく見かけます。
自律神経系は、心拍や体温調節など多くの身体機能に関わっています。
ただし、
「疲れた」
「眠れない」
「心拍が高い」
「やる気がない」
という症状があるからといって、「自律神経が乱れている証拠」と判断することはできません。
睡眠不足、運動量、仕事のストレス、体調、栄養状態など、さまざまな要因が関係する可能性があります。
この記事では、自律神経を疲労の万能な説明には使いません。
⚠️ 「少し疲れている=オーバートレーニング症候群」ではない
「運動しすぎ」と検索すると、「オーバートレーニング症候群」という言葉が出てくることがあります。
しかし、昨日ハードに走って今日は疲れている、数日間疲労が抜けにくい、といった状態をすぐにオーバートレーニング症候群と考える必要はありません。
スポーツ医学では、トレーニングによる一時的なパフォーマンス低下と、回復によりその後の向上につながる状態、回復不足が続く状態、さらに長期間の問題を伴うオーバートレーニング症候群などを区別して考えます。
European College of Sport Science / American College of Sports Medicine Consensus Statement
また、オーバートレーニング症候群には簡単な一つの検査やマーカーで確定できる方法があるわけではなく、ほかの病気や栄養上の問題などを除外して考える必要があります。
したがって、「最近疲れているから、自分はオーバートレーニング症候群だ」と自己診断するのではなく、まず現在の負荷と回復を見直し、長引く場合や強い症状がある場合は医療機関や専門家に相談する方が適切です。
🛌 回復の基本はグッズより「睡眠・食事・水分・負荷調整」
疲労が続くと、
「何か回復できるものを買った方がいいのでは?」
と考えることがあります。
フォームローラー、マッサージガン、着圧ソックスなど、運動後を快適に過ごすための選択肢はいろいろあります。
しかし、こうした商品を使えば休養が不要になるわけではありません。
まず考えたいのは、
- 睡眠時間を確保する
- 食事を抜かない
- 運動量に応じて水分や栄養を取る
- 高強度の日を連続させすぎない
- 疲れている日は負荷を下げる
- 必要なら完全休養する
といった基本です。
回復グッズは、この基本を置き換えるものではなく、回復時間を快適に過ごすための補助と考えるとよいでしょう。
🩺 「運動疲労だろう」で済ませない方がよい状態
運動習慣がある人ほど、多少の疲労や痛みに慣れています。
それだけに、
「走ったから疲れているだけ」
「筋トレしたから痛いだけ」
と思い込まないことも大切です。
特に、
- 胸痛
- 運動中の失神
- 強い、またはいつもと違う息苦しさ
- 強いめまいやふらつき
- 安静時にも続く強い動悸
- 発熱
- 急激な体調悪化
- 歩行が難しいほどの痛み
- 強い腫れ
- 原因が分からない強い倦怠感
- 食欲不振や体重変化が長く続く
- 睡眠の問題が強く続く
- 十分休んでも状態が改善しない
場合は、トレーニングメニューや回復グッズだけで対応しようとせず、必要に応じて医療機関へ相談してください。
この章の近くには、回復グッズの商品導線を置かない構成にしています。
❓ 運動しすぎ・休養についてよくある質問
Q1.筋肉痛がある日は運動しない方がいいですか?
筋肉痛があるだけで必ず完全休養にする必要があるとは限りません。
軽い筋肉痛で日常動作に問題がなく、体調も良ければ、軽いウォーキングや低強度の運動などを選択する方法があります。
一方、強い痛み、腫れ、鋭い痛み、動作を妨げる痛みなどがある場合は、「いつもの筋肉痛」と決めつけない方がよいでしょう。
Q2.疲れている日は軽く運動した方が回復しますか?
軽い運動を選択できる状態もありますが、必ず運動した方がよいわけではありません。
筋肉痛程度なのか、睡眠不足なのか、全身の強い疲労なのか、体調不良なのかによって判断は変わります。
精神的に疲労困憊している日や体調に違和感がある日は、完全休養も選択肢です。
Q3.安静時心拍数が何拍高ければ休むべきですか?
全員に共通する「○拍」という基準はありません。
普段の安静時心拍数と比べ、
- いつもより高い状態が続いている
- 疲労感も強い
- 睡眠状態も悪い
- 運動時の反応も普段と違う
といった変化を組み合わせて考えます。
Q4.運動を1日休むと体力が落ちませんか?
休養を必要としている日に無理に予定をこなすより、次の運動につなげるために負荷を調整するという考え方が大切です。
「今日は休んだ」という一日だけを見るのではなく、数週間、数か月、数年単位で運動を続けることを考えてみてください。
Q5.Garminのリカバリータイムが0なら追い込んでも大丈夫ですか?
Garminのリカバリータイムは推定情報です。
身体の違和感や疲労感があるなら、表示だけを理由に高強度運動を行う必要はありません。
数値+自覚症状+ウォームアップ時の身体の反応で考えましょう。
Q6.何日疲れが続いたら病院へ行くべきですか?
「○日なら受診」という一律の基準にはできません。
症状の強さや種類、悪化しているか、日常生活に影響しているかなどで判断が変わります。
十分休んでも改善しない場合や、急激なパフォーマンス低下、強い倦怠感などが続く場合は、医療機関への相談を検討してください。
🔚 まとめ|予定を守るより、今日の身体に合わせる
運動しすぎは、「週○回運動したから」だけで決まるものではありません。
運動量だけでなく、
- 睡眠
- 食事
- 水分
- 日常生活の疲労
- 身体の重さ
- 心拍数
- パフォーマンス
- 食欲
- 運動意欲
- 痛み
などを組み合わせて考える必要があります。
特に大切なのは、普段の自分と比べること。
そして、一つの数値だけで判断しないこと。
今日は10km走る予定だったとしても、身体が「今日は違う」と教えているなら、5kmのイージーランでも、ウォーキングでも、完全休養でも構いません。
運動を長く続けるために必要なのは、毎回予定どおりにこなすことではありません。
① いつも通りやる
② 軽くする
③ 回復日・休養日にする
④ 運動を中止して必要なら相談する
この4つから、その日の身体に合うものを選ぶことです。
そしてもう一つ。
運動した日の評価を、その日のトレーニングだけで終わらせないでください。
翌朝、
「身体は重くないか」
「脚はどうか」
「よく眠れたか」
「食欲はあるか」
「また運動したいと思えるか」
を確認してみましょう。
運動する → 翌朝確認する → 次の負荷を決める。
この繰り返しによって、自分にとって無理のない運動量が少しずつ見えてきます。
休養は、運動をさぼることではありません。
予定した運動をこなすことより、その日の身体に合った負荷を選ぶこと。
それが、40代・50代になっても運動を長く続けていくための、大切なコンディショニングの一つです。

